工夫しだいで、室内の温度差を解消。
冬場はもちろんのこと、冷房が効いている夏でも「足元が冷えて困る」という悩みを持っている人が女性を中心に多いようです。
体質などによる場合もありますが、原因はそれだけではありません。部屋の床と天井では実際に温度差があるのです。
暖房している部屋の場合、天井と床では17℃前後の温度差があるといわれています。
暖房器具などによっては、この差が20℃にもなることがあります。
この差を解消しないと、足元が寒いといった悩みは解消しにくいのです。
また、天井の熱は屋根を通って、部屋の壁から外壁を通して屋外に逃げます。
温度が低い床からも熱は奪われます。断熱建材を使わない住宅では、暖房の熱の約80%が屋外に放出されてしまうといいます。
それから、窓ガラスは屋外の温度を伝えやすいため、窓ガラスを通しての熱の移動をどれだけ減らすかも部屋の温度を快適に保つためのポイントになります。
暖かいリビングルームに対して、まるで屋外のように寒いトイレや廊下…こんなことよくありますよね。
冬だから仕方ない、と我慢している方も多いと思います
が、急激な温度変化は、身体に悪影響を及ぼします。
とくにお年寄りにとってはたいへん危険です!
脳卒中などでトイレで倒れることが多いのは、室温の大きな
変化で血管が急に収縮するためといわれています。
便座を暖房便座に替えたり、トイレに小型のヒーターを置くといった方法もありますが、トイレだけ暖かくても、廊下が寒くては十分ではありません。
健康を考えた場合、温度差だけでなく室温そのものにも注意しましょう。
暖房をした部屋の天井と床の温度差を減らすには、空気を循環させることが大切です。
例えば、扇風機を天井に向けて回せば、暖かい空気は床へ流れ込み、部屋全体の温度差が小さくなります。
暖房器具が電気ストーブなど移動できるものなら、窓
の近くに置き、熱による空気の流れを利用しましょう。
窓付近の冷たい空気が暖まり、それが上昇することによって対流が起き、空気が循環します。
夏は熱が入るのを防ぐようにしましょう。
窓にブラインドや力ーテンがあるだけでも熱の侵入を約20~30%減らすことができます。
そうすると冷房の設定温度も、それほど下げなくてもすむので冷房費も押さえられますね。
温度差をできるだけゼロに近づけるには、外気に接する部分の断熱が必要になってきます。
壁の内側、天井裏、床下などに断熱材を加えるだけでも、家屋は温度調節することができます。
冬は暖房の熱が逃げず、夏は熱い外気が室内の温度を上げることもなくなります。
窓も忘れずに断熱しましょう。近年、注目されている複層ガラスは、二重窓と基本的には同じ構造で、ガラスとガラスの間に乾燥空気の層があるのが特徴です。
この乾燥空気が外気の影響を防ぎます。
空気の層はガラスが2枚といっても、よほど意識して見なければわからないほど薄いので、部屋の美観や眺望を妨げる心配はありません。
現在、複層ガラスは2種類あります。
ひとつは直射日光を取り入れ、太陽熱で部屋を暖めることを主な目的にした高断熱複層ガラス。
もうひとつは、直射日光の熱を遮断することを主な目的にした複層ガラスです。
前者は寒冷地向け、後者は比較的暖かい地域向けになります。
ですが、1軒の家の中でも、西日があたって暑くなる部屋は日光中の熱を遮断する複層ガラスタイプ。
お年寄りの部屋などは太陽熱を利用できる高断熱複層ガラスタイプと使い分けてもよいと思います。
このように断熱した家では、床と天井の温度差は約6℃まで軽減できます。
断熱化した家では冷房費は約4割、暖房費は約7割も節約できるといいます。
これは大きいですよね。つまり、温度差の解消は健康にも家計にもプラスになるのです。