トップ > 福祉用具の選び方、使い方 > 転倒防止のための住まいの点検
私たちは住まいの中の思いがけない場所で事故にあうことがあります。
転倒を引き起こしやすい原因として、一般的に段差があげられていますが、転倒の原因となる環境はそれだけではありません。
下記のように、いくつかの原因が合わされて重なったときに、もっとも転倒事故の危険性が高まります。
減殺のお住まいにここで上げる原因がいくつか重複して当てはまる場所があれば、安全のために環境の改善を考えましょう。
では、上記の原因を見ていきましょう。
転倒事故は。大きな段差よりも和室と洋室との間の敷居部分や、扉枠の突出部分にある3cm程度の小さな段差につまずくことが多いのです。
長年の生活で、あることがあたりまえになっている、見慣れた小さな段差ほど見落としやすいといえます。
また、身体機能の低下とともに、高齢者の歩行はできるだけバランスを保ちやすい「すり足」に近づきます。
このような方には3cm程度の段差は十分に大きな障害物といえます。
また、住宅内の段差には、和室の入り口のように2室間の床の高さの違いで生じる段差と、2室間の床の高さは同じでも、戸の枠が床から突出していつ場合のように、またがなければならない段差があります。
またぐ段差は、足を上げるだけでなく突出した枠の幅を超えて歩幅を広げる動作になるので、こちらの段差通行を不得意とする方もいます。
「段差スロープ」を使用することで段差の解消ができます。
バリアフリーといえば、畳をフローリングにする工事が一般的ですが、滑りやすく硬い床は歩行に適するとはいいにくいこともあります。
特に、歩行時のバランスが悪く、転倒しやすい身体状況の方には適しません。
たとえば、板張りの床やフローリングには滑りやすいものがあります。
車椅子の方には適する床材であっても、スリッパや靴下のように滑りやすい履物で歩くとバランスを崩して転倒しやすくなります。
滑り止め付靴下や室内履き(滑り止め付)などをしようすることで滑って転倒する危険性は少なくなります。
履物との組み合わせに留意してください。
なお、フローリングは、畳やカーペット、クッションフロア(塩化ビニル系シート)に比べて硬い素材です。
転倒しやすい方には弾力性のある床材の選択も大切です。
暗がりでは、段差や障害物を見落としやすくなります。明るさが不足しがちな廊下や階段は、日中でも多く見られます。
暗がりは、明るさの不足と共に、照明の数の不足からも生まれます。
たとえば、廊下や階段の照明の数を数えてみましょう。
照明が廊下の真ん中に1つだけでは、身体の前方に照明があれば、足元は明るくなりますが、身体の後方にあると足元は自分の影で暗くなります。
夜間にトイレに行こうと気がせいていると、自分の影で足元の段差を見落とすかもしれません。
照明の数を増やして影を分散させることが戴せるです。
暗がりと考えるときには、必ず日中の明るい時間帯だけでなく、夕暮れ以降の時間帯に窓からの日差しがなくなることも想像してください。
暗がりは住まいのいたるところに存在します。
障害物にはいろいろなものがあります。
室内では、整理整頓でなくすことができるものもありますが、他にもまだたくさんの障害物が存在します。
たとえば敷物類です。
じゅうたんや玄関マット、トイレマット、バスマットなど住まいには多くの敷物類があります。
歩行中に敷物の縁に足のつま先が絡んだり、つまずいて足がもつれたりすると、転倒する危険性があります。
季節を限定して使用するこたつ布団、電気カーペット等も同様です。
敷物をすべて取り去ることは困難ですが、縁のめくり上がりやずれに気がついたら、できるだけ固定し、固定できないものははずれにくくする工夫をほどこしましょう。
滑り止め防止マットをはさんだり、滑り止め加工付のマットの使用も有効です。
また、室内の床に這うコード類もつまずきの原因になります。
私たちの生活には実に多くの電化製品が使われています。
それらひとつひとつのコードがコンセントに向かってのびているのです。
コンセント近くの床に放置されたコード、部屋を横断する延長コードなどが足に絡むととても危険です。
段差の見分けやすさは周囲の色合いに影響を受けます。
壁と床が似た色合い、段差部分の見分けがつくにくい色合いでは、暗がりと同じように転倒の危険性が増します。
段差部分と段差前後の床面が似た色合いでは、著しく視認性(実際に目でみて確認すること)が低下して、高齢者には段差の位置の確認が難しいのです。
特に階段では1段1段のの角(カド)
が見分けにくいと大変危険です。
段差の位置や切れ目のわかりやすさについても、ぜひ注意してください。
階段に使用する滑り止めなどをも有効です。
屋内だけでなく、門から玄関にいたる通路部分(アプローチ)でも転倒の危険があります。
屋外では、通路部分に石やタイル、レンガなどを敷き詰めて趣向を凝らした庭造りを楽しむことが多いのですが、目地と言われる素材のすき間の幅が広い場合やくぼみが大きい場合には、杖や靴先があたりつまずきの原因となります。
とくに注意したいのは、飛び石を言われる一定の間隔に石を配置した場合です。
石の間隔が広いと安定した歩幅よりも無理をして足を広げようとするために不安定になりやすく、結果として石の縁につまずきやすくなります。
また、飛び石は両足と杖がすべて乗るほど大きくはありません。
石の周囲が小石(砂利)敷きの場合は注意が必要です。杖を突いた位置が、小石の部分なら、杖先が小石と小石の間に突き刺さってしまい、杖をうまく使えなくなることもあり危険です。
このように、転倒事故を引き起こす環境面の原因はさまざまなものがあります。
住まいの中に、これらの原因が重なり合う場所があれば、特に転倒に対する注意が必要です。
健康な方でも、夕暮れ時の薄暗がりの時間帯に、見分けにくい段差と滑りやすい床材の上をスリッパで歩けば、転倒するかもしれません。
移動の安全を考えるために、せひご自身の住まいの安全点検を行ってください。
なお、段差スロープは設置したが、延長コードが床に転がっていたり、畳の上に敷いたじゅうたんの縁がめくれあがって足に絡みやすかったりと中途半端な改善では問題点が解決されないこともあります。
複数の原因が重なった場合で原因を1つだけ改善しても、安全な環境になるとはいえないことを理解してください。
場所ごとに転倒しやすい原因を点検して、どのような問題があるかをよく理解すること、ひとつひとつの原因に対するかいけるを図ること、転倒防止にはこの両方を合わせた対応が大切です。
バリアフリー住宅とは、単に段差のない住宅を意味するわけではありません。
転倒の原因となる要因をなくし、総合的に移動にかんする安全性を持つ住宅が本当のバリアフリー住宅です。